導入事例

「運用」と「セキュリティー」
2つの課題を寄り添う姿勢で解決

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)
マーケティング本部 広報課 主管
秋本安香 氏

外気温35度の炎天下で車を放置すれば、車内温度はどれほど上がるか、夜間走行時における歩行者の見え方は──。自動車に関する多くの疑問を実験・検証し、その結果を映像や画像にして安全意識を啓発する。ロードサービスや交通安全を事業の柱の一つにする「日本自動車連盟(JAF)」の大切な役割だ。

これら検証動画などの素材を提供する際の潤滑油として、shelfが一役買っている。報道メディアなどからエントリーフォームを通じて素材の貸し出し依頼があれば、全国50カ所以上あるいずれかの部署が、shelfに格納された480点以上ある映像や画像で対応。貸し出しのステータス管理や、上長への報告もshelfの中で済ませる。

「導入以前は共通のIDとパスワードを発行し、あらゆる素材が入った一つの大きなデータをメディアに提供していました。ですが、これでは『いつ、どこに、何をどれだけ貸したのか』がわからない。不正利用のリスクもある。JAFの抱える大事な財産をきちんと管理し、情報を有意義に役立てていくべきではないか。社内でそんな声が上がりました」とマーケティング本部・広報課の主管、秋本安香さんは話す。

可視化によりデータを資産として管理可能に

課題解決のためのDAM(デジタル・アセット・マネジメント)サービスを探しているとき、関連会社からshelfを紹介された。

導入後は、貸し出し情報を履歴として可視化することで、素材管理の当初の目標を達成。また、コンテンツごとに使用の申請をして承認可否する機能により、セキュリティーも向上した。

しかし、素材の貸し出しはshelfで管理できても、そこに至る取材受け付けは別のシステムでまかなっていたまま。加えて、各システムを使える社内ユーザーが限られていたため、業務が煩雑化していた。

さらに、猛威を振るっていた新型コロナウイルスの影響が加わった。取材受け付けシステムにはセキュリティーの観点からIPアドレス制限がかけられ、取材管理対応ができるのは社内だけ。ところがコロナ禍に入り、社員の多くは在宅での仕事を余儀なくされたのだ。

コロナ蔓延による在宅業務
二要素認証で課題を解決

「メディア担当者からいただく情報には個人情報も含まれていて、そこはしっかり管理しなければと思っていました。けれど、その対応のためだけに出社する非効率が常態化し、場合によっては事情を知らない社員が代わりに担当することも。責任者に対応の内容を確認するのにも別のチャットツールで連絡を取るなど、とにかく時間がかかっていました」と秋本さんは振り返る。

そこでアマナは独自の受け付けシステムをつくり、通常のパスワード認証に、SMS(ショートメッセージサービス)によるワンタイムパスワード認証を加えた二要素認証でこの課題を解決。「セキュリティーを担保すること」「現在の勤務形態に沿った運用ができること」というJAFの2つの願いをかなえ、働き方の幅を広げた。

加えて「無駄が減った」と秋本さん。「全国でひと月に100件ほどの貸し出し依頼があるなか、これまでは年に1000枚以上の書類を印刷し、その度に押印が必要でした。shelfによって相当な紙の枚数と承認、保管にかかる時間が削減できました」と話す。在宅ワークであっても、外出先であっても確認や承認対応が出来るようになり、社内はもちろん、メディアへの連絡もよりスムーズになったという。

「切り捨てず、親身になって検討してくれた」

shelfの基本利用だけではこうはいかない。現在の形に落ち着くまでには、紆余曲折(うよきょくせつ)があった。顧客の希望に添って、カスタマイズができるというのも導入の決め手の一つだったと秋本さん。「アマナさんは、こちらの要望を『それは難しいですね』『厳しいです』と切り捨てず、親身になって寄り添い検討してくれた。ネガティブな言葉はなく、そうした姿勢が何よりありがたかった」

今後は取材の依頼傾向から将来必要となる素材の検討をしたり、ニュースリリース作成のための参考にしたり。いずれは、いつ、どの動画がどれだけダウンロードされているのかを調べ、PRの検討材料にしていきたいという。

取材受け付けと素材管理機能のシステムは一本化されたが、まだまだ連携できる部分があると秋本さんは考える。「取材管理の履歴と貸し出したデータが自動でひもづき可視化される。取材受け付け時に申請するメディア担当のアカウント発行が、素材貸し出しタイミングでも可能にするなどが可能になれば、より時間短縮につながると思っています」

同時に、管理画面でできるshelfの設定アレンジを社内で進め、使いやすさの追求も緩めない。「管理者目線で言えば、使いながら自分たちで設定を変更していける点も気に入っています。改善点を見つけながら、少しずつ次のフェーズに進めていけたらと思います」

一般社団法人 日本自動車連盟(JAF)

1963年(昭和38)に社団法人「日本自動車連盟」として発足。車の故障や事故、トラブルの現場に急行し、救援するロードサービス業務をはじめ、交通安全推進業務やモータースポーツ業務などを担う。

2021年に会員数が過去最多の2000万人を達成。全国に計8カ所の地方本部、全都道府県に計52カ所の支部を配置し、事業を展開している。