DAMって何?ストレージとは違うの?
 ~特徴やメリットを解説~

日常でも、仕事をする上でも、デジタルコンテンツに触れない日はない今日この頃。製品やイメージ画像、ブランドムービー、企画書や製品資料などたくさんのデータが存在し、そしてまた何らかの形で蓄積されていることでしょう。

 

しかし皆さまの中で、「デジタルコンテンツの活用」までをしっかりと検討し、蓄積している方はどのくらいいらっしゃるでしょうか?このページを確認いただいているのは、その重要性に気が付いた方たちかもしれません。フォルダにしまい込んだが最後、共有も再利用もされない。データの検索・手配に時間がかかる。問い合わせ先もわからない。結局同じようなものをもう一度用意する・・・。そういったデータの管理・共有方法にストレスを感じていたら、それはDAMサービスを検討いただくサインです。

 

コンテンツを活用し、より高い価値を生み出す企業の”資産”とするために。そのお手伝いができるDAMについて、特徴やメリット、更にはデメリットについてもお伝えします!

DAMって何ですか?

デジタル資産管理_DAM_画面イメージ

 

「こういうサービスを探していました」と言ってくださるお客様でも、初めから「DAM-ダム-」という言葉で検索したりお問い合わせしてくださる方はごく少数です。まずは私たちが推奨するDAMとはどういうものなのか、簡単にご説明できればと思います。

 

DAMの定義

DAM(ダム)はデジタルアセットマネジメント-Digital Asset Management-の頭文字をとった言葉です。アセットは「資産」、マネジメントは「管理」で、「デジタル資産を一元管理する」概念や活動を指します。

 

具体的には、データ収集に始まり、どういったデータなのか文字情報(メタ)を付与、インデックス化して決められたストレージに保管しておき、必要な時に検索、利用できる、という一連の流れが含まれます。

 

デジタル資産管理_DAM_の一覧の流れ_手順

 

デジタル資産はいつものデータから作られる

では管理すべきデジタル資産、デジタルアセットとは何でしょうか。

実は皆さんも、デジタルアセットになるべきデータを普段から取り扱っています。下記は一例ですが、いつも目にするデータも多いのでは。

 

デジタル資産管理にて資産として扱われるデータ一例

 

資産とは、将来的に会社に収益をもたらすことが期待される経済的価値のことを指します。そのため、「あのデータどこにあったかなあ?」という状態ではデジタル資産とはなりません。適切な管理により積極的な活用、再利用を促し、いつものデータを企業に利益をもたらす「資産」へと変化させることが必要です。

 

例えば「過去に制作した画像データの背景素材を他のビジュアルに再利用したい」「作成済みの商品CGの部分修正でシリーズ商品のグラフィックを制作しようかな」「提案資料や、成功事例を共有して営業力をアップさせよう」「過去のマーケティングデータから新商品のヒントや改良ポイントを探りたい」・・・などと考えたとします。しかしデータが見つからなければ始まりませんし、見つかっても使って良いデータなのかわからなければ利用できません。限られたメンバーでしか共有されていなければ利用機会も広がりません。

せっかくのコスト削減や利益創出のチャンスが失われないように、デジタルデータも会社の「資産=アセット」としての一元管理、運用が大切なのです。

 

DAMシステムの役割=DAM活動のサポート

データの集約、管理、運用が重要なのはわかっていても、何もない状態でDAM活動を行うことはなかなか大変。そこで役立つのがDAMシステム(サービス)です。

 

DAMシステムには一般的に、DAMの流れを支援し、促進させる機能が用意されています。

 

DAMシステムの機能一例

  • データを集約、それぞれに文字情報(メタ)を付与して管理可能
  • 関連するデータを紐づけて登録できる
  • アクセス権の設定やIPアドレス制御などのセキュリティ措置が可能
  • さまざまな検索軸が用意でき、絞り込みが簡単
  • データのバージョンや著作権、使用期限の管理が容易
  • システム上でプレビューでき、ソフトが無くても中身が確認できる
  • 異なるフォーマットやサイズのデータが自動作成される

 

まとめると、DAMとはデジタルデータが簡単に探せて、安全に利活用できる状態を作ることでデータを資産化し、企業に利益をもたらす活動であり、DAMシステムはそれをサポートするツールであるといえます。

 

 

DAMシステムとクラウドストレージとの違いは何か

デジタル資産管理DAMサービスとクラウドストレージの違い_イメージ

 

弊社のDAMサービスをご紹介すると、よく「クラウドストレージとは何が違うのか」というご質問を頂きます。データを格納し、安全に共有する機能を備えている点で、あまり変わりがないと思われるのは、もっともです。

 

そんな時、私たちは下記の3点をクラウドストレージと異なる点としてお伝えしています。

 

  • 文字情報を付与できることで、検索性が高く、権利関係の管理も可能
  • 多数ユーザーに向け、管理されたコンテンツの発信に向いている
  • 「使える」コンテンツが蓄積されているため、他システムとの連携にも適している

 

 

ひとつずつ見ていきましょう。

 

文字情報を付与でき、検索性が高い

デジタル資産管理_DAM_検索性イメージ

データファイル名や、格納されているフォルダ名称だけを頼りにデータを判別することは難しく、また同じようなデータ名で管理していると、かなりの数が検索に引っかかってしまい、適切に絞り込めない問題が出てきます。また、結局使えるのかどうかの判断を関連各所に都度確認すことになり、最悪の場合使えないということにもなりかねません。

データにまつわる詳細な文字情報(メタ)が付与できれば、データの素性をはっきりとさせ、検索しやすく、権利関係も把握可能。これがDAMの要ともいうべきポイントです。

 

多数ユーザーへ、管理されたコンテンツの発信に向いている

デジタル資産管理_DAM_管理活用イメージ

限られたユーザー間での共有や、制作中などで頻繁にやり取りする場合など、一定ユーザー、短期間のデータ共有はクラウドストレージが向いています。しかし、データを蓄積し量が増えたり、関わるユーザーが多くなったり、またデータ制作から時間が経つと、それが何のために作られ、どのように使えるのかが見えにくくなっていきます。さらに、縦割りの、いわゆるサイロ化されたデータ共有をやめ、より大きな組織体でデータを活用したい場合、その伝達がより難しくなっていくことは想像に難くありません。

一方でDAMは管理者が中心となりデータを管理します。メタ情報付与や公開設定、利用制限などにより、適切に多数ユーザーがデータ活用できるようサポートする面が強く、他部署や海外支社、社外ユーザーなど遠いメンバーであっても利用判断でき、安心して使える状態にすることが可能です。

 

DAMをハブに、正しい情報を連携できる

デジタル資産管理_DAM_情報連携イメージ

データと関連情報が正しく整理できるDAMは、WEBサイトや商品DBなど、社内外で利用しているシステムと連携すれば、連携先システムの情報も正しく管理、発信できるようになります。

さまざまなシステムが企業内に並列している場合に、データが可視化されるDAMをハブとして整えていく企業も増えています。

 

 

DAMが注目される背景とソリューション

デジタル資産管理_DAM_注目される背景とソリューション_イメージ

 

DAMは以前から存在する概念ですが、最近になり、その意義が再認識されているように感じられます。

それにはこれから挙げる4つの背景と、DAMが提供できるソリューションがあると考えられます。

 

チャネル、メディアの多様化による利用コンテンツの増加

❕ TVや雑誌、WEBといった媒体に加え、スマートフォンの普及によりSNSやアプリなども企業の広告の場として定着。メディアも多様化し、オウンドメディアから自発的、多面的な発信を行っている企業も増えました。

さらにはWEBでのパーソナライズ化ニーズにより、扱うコンテンツは膨大な量となっており、管理が格段に難しくなったと感じる方も多いのではないでしょうか。

 

💡 DAMを用いれば、各データの使用箇所や目的などのメタ情報を管理でき、必要な人が必要に応じてコンテンツを簡単に探し出すことが可能となります。チャネル、メディア、個人の興味関心に合わせたコンテンツを用意し、使い分け、共有するためにDAMサービスが利用されています。

 

コンプライアンス意識の高まり

❕ 企業の法令遵守は、取引先や顧客、そして社会からの信頼を得るためにとても大切な要素です。デジタルコンテンツの利用にも、著作権や肖像権などの守るべき権利があり、ネット上でのコンテンツ利用が増えるにつれて、より意識されるようになりました。もし、使用期限の過ぎた画像を使いまわしてしまったら。社内利用しかできないコンテンツがSNSで発信されていたら……。コンプライアンス違反は会社にとって重大なリスクになってしまいます。

 

💡 企業イメージを大きく損なう不正利用対策としてもDAMは有効です。使用許諾範囲を情報として付加し、場合によってはアクセス制御や利用申請などにより、安心、安全なコンテンツ利用を支えます。

 

企業ブランディングやナレッジ共有の重要性

❕ チャネル、メディアの多様化でコンテンツが氾濫する状況だからこそ、他社にはない「らしさ」を伝え、差別化を図る必要が出てきています。WEBサイトや広告ビジュアルといったコンテンツだけでなく、販促資料や提案資料、接客方法などのナレッジに至るまで、企業活動全体で「らしさ」=ブランディングを行うためには、企業のCI、VIを正しく浸透させ、全社員がそれに即した活動ができるよう、社内での意識統一が欠かせません。

 

💡 正しく、最新の情報が管理されるDAMは、1対多の共有に向いています。部門や部署、国境を越えてCIやVIを共有していくことや、文字で伝わりにくいナレッジをビジュアルや映像などで補完して浸透させるといった使い方が可能。また一覧性があるため、共有されたコンテンツがCI、VIに即しているかどうかを管理者がチェックすることもできます。

 

脱サイロ化のうごき

❕ クラウドストレージなどでデータは保管しているものの、チームや部門といった比較的小さな組織体で運用し、各々が独自のルールで管理するストレージが乱立すると、全社でのデータの利活用が進みません。こういったいわゆるサイロ化の状態は部門間の連携や、会社全体でのサービス開発、利益創出を阻害する要因となるため問題視されています。

 

💡 最近では他部門(他サイロ)のアセットに関心を持ち、より大きな組織体で利用できるよう、各ストレージの統廃合(リプレイス)を希望される企業様も増えています。データ提供や活用を見越したDAMの検討を通して、企業に合った管理・運用方法を取り決め、情報の付与や、しっかりとしたカテゴライズ、そして公開を行っていくことで、脱サイロ化を促します。ただし、利用しているストレージやシステムが多くなると、全ての統合にはかなりの労力やコストがかかります。今はデータ連携技術も進んでいるため、必要なシステムは残し連携させることで、全体としてDAMを行い、データ活用を行う選択肢も増えています。

 

 

DAMのメリット、デメリット

デジタル資産管理_DAM_メリットとデメリットイメージ

 

ここでは、前段のようなDAMのソリューションが、どういったメリット、デメリットをもたらすのか見ていきます。

デメリットは意識すべきポイントとも考えられ、注意して運用すればDAMサービスをうまく使いこなすことにつながります。

 

メリット1 : 業務フロー改革、業務効率改善

データが集約され、また情報を合わせて管理するDAMは、検索性が高く、データ捜索や利用確認といった時間と労力のロスをなくします。また格納先や付与すべき情報の項目をあらかじめセッティングできるため、それに沿ってデータ登録、運用を行っていけば自然と業務フローが整い、効率改善が見込めます

 

メリット2 : コンテンツの流用性、質を高める

データが探し出せる、使えるDAM環境があれば、同じリソースでアウトプットを増やせるため、コストを抑えたコンテンツ制作、利益創出が可能。過去データの共有によりナレッジを得たり、ブラッシュアップしていくことで、コンテンツの質が高まることも期待できます。

 

メリット3 : コンプライアンスを高め、利用を促進する

DAMで行うコンテンツの許諾範囲、版権、バージョン情報等の管理は不正利用を防ぐ目的が多いですが、裏を返せば正しく使えるデータがスピーディーに検索可能な状態のため、範囲内での利用がしやすくなると言えるでしょう。

 

メリット4 : 企業のブランド力、営業力を強化

企業のCI、VIに即したアイテムの共有や、各部門にて登録されたコンテンツを確認できるため、全社統一されたアイデンティティを浸透させる仕組み作りが可能に。併せて営業事例や資料等の共有によりナレッジ化も図れるため、営業力、ブランド力を高めます

 

 

 

デメリット1 : 登録のひと手間

DAMでは後々の利用を考えて、関連情報を合わせて管理しますが、この入力のひと手間がかかります。また、登録させる情報の項目も決めておく必要があります。データを貯めるだけで探せない、使えない状態を作らないために、必要な作業です。

 

デメリット2 : 他のシステムからの移行やすみ分けが必要

最近では何かしらのシステムを利用し、データ管理されている会社様も増えています。その場合は、既存システムの統廃合やデータの移行作業、並行して使う場合には各システムを俯瞰し、全体的な利用イメージや各用途を考慮する必要があります。

乗り換え先のサービスによってはデータ移行代行や既存システムとの連携カスタマイズ、システム構築のアドバイザリーなどのオプションが用意されていますので、必要に応じて利用するのもいいかもしれません。

 

デメリット3 : アンバサダー的な管理者、キーとなる利用目的が必要

個人が自由勝手にデータを格納・共有するストレージと違い、DAMは利用方法や運用フローが決定され、管理者のハンドリングの元でデータを収集、活用します。そのため、何のためのDAMなのか、社内でキーとなる利用目的を設定し、その上で運用管理と普及活動をするアンバサダー的な管理者がいないと、うまく広がっていかない可能性があります

DAMサービス検討の際には、管理者向けのサポートやフォローが行われるかなども確認いただくと良いでしょう。

 

 

ストレージと共存?これからのDAMのかたちを考える

デジタル資産管理_DAM_これからのDAM

 

総務省の令和3年通信利用動向調査および情報通信白書によれば、クラウド利用企業は約7割、その中でも「ファイル保管・データ共有」のための利用が59.4%と最も高くなっており、データをクラウドストレージで保管することは企業にとって当たり前になってきています。また続く令和4年の報告でも「日本のパブリッククラウドサービス市場は、2021年は1兆5,879億円(前年比28.5%増)」となっており、引き続きクラウドの活用が予想されます。

デジタル資産管理_DAM_情報通信白書から企業のクラウド利用イメージ
出典:「令和3年版情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n4200000.pdf

 

デジタル資産管理_DAM_情報通信白書より_クラウド利用の用途
出典:「令和3年版情報通信白書」(総務省)https://www.soumu.go.jp/johotsusintokei/whitepaper/ja/r03/pdf/n4200000.pdf

 

しかしDAMが注目される背景でもご紹介した通り、ストレージを導入しながらも、データ利活用に課題を抱えている企業様も多いようです。

 

例えば弊社にもこのようなお悩みの声が。

「クラウドストレージに大量の保管しているものの、検索できないため再利用できない、全体での活用も難しい」

「しかし今さらストレージを業務フローから切り離すことも難しく、そのような状態で新たなDAMを導入しても、うまく行くだろうか?」

 

その場合弊社は「利用中のストレージと連携させる」方法を提案しております。特定のデータをDAMに連携させ、DAMを公開用、検索用として利用いただくカスタマイズです。

 

 

DAMとクラウドストレージ連携イメージ

 

 

ある会社様では既に、shelfではデータ登録時に自動生成されるプレビューと付加情報を管理し、実データはストレージに自動移行する運用を実施されており、次のようなメリットがあったと言います。

 

  • shelfで共有、検索、確認が容易になり、本当に必要な時だけDLできるようになった。
  • 好き勝手作られる複雑なフォルダ構成ではなく、管理されたDAMシステムにより、検索性、一覧性が増した。
  • ストレージはバックアップ用、shelfは見る用。プレビュー表示されるshelfで整理も楽になった。
  • 1つのシステムに何が何でも統合しなくてはならない、というストレスがなくなった。

 

初めに定義した通り、DAMとはデジタル資産の集約、メタ付与、カテゴライズ、保管、検索、データ提供/活用を促す活動そのもの。そのため保管用のストレージはそのままに、必要なデータのみDAMサービスに連携したり、ストレージの検索システムとしてDAMを利用いただいたりするだけでも、DAMのポイント「デジタルコンテンツが簡単に探せて、安全に利活用できる状態を作ること」ができるのであれば、何の問題もありません。

 

クラウドストレージを利用したデータ管理が進んでいる実情から、これからのDAMは、1つのシステムですべて保管、完結するだけでなく、他のシステムやサービスと柔軟に連携・共存するカタチも増えてくるでしょう。その場合に、DAMシステムならではの優位性「付加情報が持てること」や「検索性」をより高め、ストレージの足りない部分を補えるよう、shelfでは自動翻訳機能や、申請機能の拡充など、さまざまな開発を進めています。

 

 

デジタル資産をより効率的に管理し、コンテンツの価値を高めるDAM。

今こそ自社に合ったDAMサービスの導入を検討されてみてはいかがでしょうか?